夢追い人の凱旋

「楽しい!」をください。

NEW WORLDのこれまでとこれから。

少クラ(2020/3/6)の「NEW WORLD」の話をしたいと思います。今回もめちゃめちゃ狭い範囲の解釈ですのであしからず。

 

 

素敵でしたね。ギラギラの赤衣装に見合わないエモい涙腺崩壊ソングでした。そんな 「NEW WORLD」を歌う彼らを見ていて思ったのは、「受け取り方が違うんだろうな」という事です。この歌はSixTONESのデビューシングルに締め曲として収録されている、6人の過去を汲み取ったかのような歌詞が印象的な「エモい曲」です。

6人も「エモい曲」「過去を暗示する曲」としてイメージは合致しています。でも、パフォーマンス中の表情に統一感がないんです。表情を統一するなんて難しく聞こえますが、「“Laugh” in the LIFE」ではみんな楽しげな顔をしているし、「Imitation Rain」は真剣な顔をしています。「かっこいい」とか「楽しい」とか、「最大級にオラつく曲」とか。曲を通して一番伝えたい、意識したい部分は似てくると思うんです。

6人は紛うことなきアイドルで表現者なので歌ってる最中の表情も曲のイメージに沿い、或いはイメージを構築し、パフォーマンスの一部としています。そしてその根底はブレはあれど同じようなものだと私は感じています。

でもこの「NEW WORLD」は6人の表現が、ひとりずつ見たときに印象が変わってくるんです。

 

 

こじ付けですし、勘違いです。思い込みの上に思い込みを重ねて話をします。私はこう受け取ったよ、というだけです。与太話ですが、お付き合いいただけますと幸いです。

 

 

 

まず高地くん。

高地くんはずっとニコニコしています。楽しそうに歌い、楽しそうに踊る。カメラににっこりと微笑みかけ、ファンに向けた歌詞では手でハートを作ってみせる。「楽しい」「嬉しい」という感情でだけで構成されている曲ではないはずなのに、高地くんはそれが違和感に感じるほど笑顔を振りまいているんです。そこには不安や切なさみたいなものは全くと言っていいほどなくて、ただただ新たな世界へ踏み出すことへの希望と、スタートラインに立てる幸せを感じるのです。あくまで晴れやかに、名の通り新たな世界へ飛び出した時に貰ったこの歌にマイナスな感情は不要だと言わんばかりに。

“どこにもない ひとつの物語 君と作りたいんだ”

“根拠なんてないさ 僕らだけの大きな夢”

高地くんが任された歌詞は「君と」「僕らだけの」つまり自分だけでは完成しない、「物語」や「夢」といった壮大で漠然としたものを歌っています。

グループとしての大きな軸、なくしてはならないもの、見失いたくないもの、6人でいる意味。SixTONESが何度も口にしてきた「ファンのため」という感情がどこよりも乗っている歌詞です。それをSixTONESの笑顔担当・高地優吾に割り振られたのはきっと、「君」と「僕ら」に輝かしい未来が待っていると、例え根拠はなくとも暗い顔せずに歌ってほしかったからかななんて思ってしまうのです。

 

高地くんにとっての「NEW WORLD」は「未来への門出を祝う曲」。

これからの未知数を楽しむための、新たな希望へ思いを馳せた歌。

 

 

 

 

北斗くん。

北斗くんは最後の微笑が目に焼きついています。綺麗だった、というのもあるんですが、北斗くんはそこ以外では「君と作りたいんだ」「きっと奇跡なんだの箇所でしか口角を上げて笑っていないんです。「諦めない」でほんの少しだけ気持ち口角が上がってますが、他はずっと落ち着いた表情をしています。

北斗くんにとってこの曲は「楽しげに笑う曲」じゃない。ここでもう高地くんとの解釈の違いが生まれているのです。ふたり並んでるところはちょっと笑っちゃうくらい表情の差がある。

では多彩な表現で人々を魅了する北斗くんが意図するものは何か。

北斗くんのパフォーマンスから感じるのは「拭いきれない残酷な日々」と「それでも夢を見てしまう愚かさ」と「ずっと愛してくれた君への情」。

身体を曲げて歌う北斗くんには憂いが見られます。「奇跡なんだ」で笑顔を零す北斗くんは今ここにあるグループ、メンバー、環境すべてを本当に奇跡だと思っていそうだし、最後に優しく微笑んだのは確実にテレビの向こうにいる「君」に送られていました。あんな優しく微笑まれる北斗担はきっと北斗くんにとってかけがえのない人。

 

北斗くんにとっての「NEW WORLD」は「過去を糧に未来へ向かうための曲」。

無駄なものは何もなかったと、過去の自分を愛させてくれる歌。

 

 

 

 

きょもくん。

きょもくんはキラキラした目に否が応でも惹かれます。

きょもくんはサビ前の「たとえ暗闇でも その手を離さないで Go way」で幸せを噛み締めるように口角を上げます。さっきまで芯のある顔をしていたのに。こんな笑顔になる?ってくらい綺麗に笑うんです。きっときょもくんは過去を俯瞰している。「あの頃は辛かった」と感情を反芻するのではなく、未来を勝ち取った者としてお兄さんのような目線でいる。だから声に強さが乗るし、喜色が宿る。

全体的に見ればきょもくんもクールな表情が多いです。北斗くんのような切なさではなく、覚悟や揺るぎない強さを感じる顔をしています。でも自分のソロパートでしか笑いません。自分がメッセージ性を任されている部分でしか笑わないんです。言い換えれば個人として発信できるポイントできょもくんは必ず口角を上げます。でもツーショットや集合で映るときは表情を崩さない。

笑わなくても曲の表現として矛盾はない気はするんです。覚悟を歌う曲なら芯のある眼差しで歌えばいいし、希望の曲ならもっと笑ってもいいのに。でもきょもくんは澄ました表情の中で、大事なところだけキラキラと輝きを纏って華やかに笑うんです。

 

きょもくんにとって「NEW WORLD」は「もがき続けて光を見つけた曲」。

悩み苦しんだ過去を越えて、今自分の掌にある幸福を示す歌。

 

 

 

 

樹くん。

樹くんはぐっと何かを噛み締める表情をします。

笑うのは「君と作りたいんだ」と「きっと奇跡なんだ」。「君と」の部分は少し挑発的に微笑んで、「奇跡」は「こんなかっこよくなったよ」とでも言いたげに手を軽く広げてみせます。常に飄々としていて、肩の力が抜けていて、ラップの部分ではバチバチに強気で。

そんな外見に似合った軽さの一方で、樹くんはめちゃめちゃ感情たっぷりに言葉をマイクに乗せます。ラップはそう、言わずもがなひとり背負う「怒り」と凶器となるほどのSixTONESというグループへの「自信」。

ジェシーくんと対になるところでは真摯にアイコンタクトをして、きょもくんのソロで周りに集まった時はメンバーを見渡す。樹くん、ラップに騙されるけどパフォーマンスもめちゃめちゃ愛情深い。この曲はメンバーやファンに思う存分愛情を示していい曲だと思ってるのかもしれませんね。

そんな樹くんがラスサビで泣きそうな表情で歌うんです。感情を込めて、浸るように。

デビューに漕ぎつけたことを「奇跡」なんて簡単な言葉では済ませられないほど、彼の手足には理不尽で冷ややかな枷が嵌まっています。それでも樹くんはその枷を付けたままアイドルでいる事を選びました。メンバーも、きっと自分達の未来を天秤に掛けて彼を守ることを選んだ。そんな彼らに今新たな世界が開けている。

 

樹くんにとっての「NEW WORLD」は「不可能の壁を越えたと宣言する曲」。

ここまで寄り添ってくれた、優しさと愛情を再確認する歌。

 

 

 

 

慎太郎くん。

慎太郎くんはずっと無邪気で柔らかくにこやかで、笑顔が非常に眩しい。でもふっと、重たい感情を歌に乗せる瞬間もあります。でも基本はふわふわと楽しそう。「叶えてみせよう」と歌いながら、指を順番に折ってみせる。これからの未来を待ちわびるように夢を数えて、期待に胸を膨らませる。どこまでもポジティブで、暖かい。

慎太郎くんは大事なAメロ歌い出しと落ちサビ前を任されています。少年のような、甘くて繊細で溶けていくような歌声。私が思うに、慎太郎くんのこの歌声が曲のイメージに一番近いのではないでしょうか。歌い出しで曲の大まかなイメージを構築し、切ないジェシーくんの歌声の前に持ってくることで曲の主線からのギャップを色濃く表現できる、のかもしれません。

ずっと楽しそうで「幸せな曲」と認識していそうな表情の慎太郎くんですが、最後のサビでは手を空に向けて凄く切ない顔をします。他が暖かい分、そのたった1回が凄く印象的なん」です。慎太郎くんの中々出さない弱い部分がそこに詰まっている気がしてとてもしんどい。でも裏を返せば、慎太郎くんはこの歌を顔を曇らせて歌う曲ではないと思っているんです。苦しさの滲む曲だと分かりながら、それでも楽しげに、幸せそうに歌う曲だと判断した。そこに慎太郎くんなりの強さや美しさがある気がしました。

 

慎太郎くんにとっての「NEW WORLD」は「過去を思い出に昇華する曲」。

今までの悲喜交々を、綺麗な物語としてアルバムにしまう歌。

 

 

 

 

ジェシーくん。

ジェシーくんはずっと難しい顔というか、色んな感情が見え隠れする顔をしています。悲しそうだったり、喜びを噛み締めているようにも見えたり、泣いているような、安堵しているような、見た人によって感想が変わるような表情をしています。曲から考えればプラスの要素を持った感情であることは間違いないんですが、そこまで範囲を狭めても、やっぱり「これ」というものが思い浮かびません。それだけ均等に、様々なものが詰まった曲なのかな、と。

ひとつの疑問。ジェシーくんは「辿り着けた」んでしょうか。

“(Again and again) きっといつかは (Again and again) 辿り着けるから”

これを歌うジェシーくんの表情がどうしても気になっていて。私ずっとこの歌詞は「NEW WORLD(今いる場所)に到達できた」という、辿り着いた当事者になって過去に語りかけているものだと思ってたんですが(きょもくんへの解釈はそう)、ジェシーくんのパートは光の中にいる人の感情だけではない気がするんです。まだ光を望む側にいるような、光の当たっていない場所にいるような。ジェシーくんはまだ、NEW WORLDに辿り着いていないんじゃないでしょうか。6人誰一人欠けずにデビューを果たしたジェシーくんが辿り着いていない場所はどこなんでしょう。

SixTONESを繋いだのは間違いなくジェシーくんです。でもジェシーくんはずっと「これで良かったのか」と悩み続けてるように思います。ジャニーズに引き止めたこと、一度ダメになったグループを復活させたこと、その他もっと色々なことに悩んでいる。不満やコンプレックスがあるとかではなく、未来から見たとき5人の人生の汚点になってはしないか、漠然とした不安がある。ように見えるんです。

 

 ジェシーくんにとっての「NEW WORLD」は「6人の変わらぬ未来を夢見る曲」。

ずっとこの歌が歌えますようにと、歌ってこれたねと笑えるよう願いを込めた歌。

 

 

 

だと思いました私は!!!!!!!!!!

 

 

 

ひとりひとり立ってる場所が違うんです。

未来を見てるか過去を懐かしんでるか。幸福を歌うのか、覚悟を決めるのか。みんなちょっとずつ見てる景色が違っているように感じて、この違和感に気付いたときめちゃめちゃ興奮しました。だってひとつのグループとして、同じ歴史を歩んできた人たちなのに、こんなに受け取り方が違うんだ!!!同じ曲にこれだけ色んな表現を乗せるクループなんだ!!!!!って思いませんか。さすがドラマ組として集められただけはあります。

そして誰も個人のパフォーマンスを邪魔しない。でも全体のパフォーマンスで見たとき歪に見えない。グループの大外のデティールはきめ細かく調和を図り、あえて内側の個人が抱く曲に対するイメージは統一させないでいるのだとしたら、SixTONESってグループはありえんヤベェ集団だということになります。そうであってくれ。

「全員気遣い屋だけど個性が強い」がこんなところでも発揮されてて天才だとしか思えん。

 

これは6人のパフォーマンスだけじゃなくて、アイドルとしての背景も込みで色々考えていたのでただのパフォ解釈ブログではありません。それ以外から推察する部分があまりにも大きい。なので書くのを躊躇っていました。

でもこの「NEW WORLD」をただのエモい曲として終わらせてしまうのもなんだか寂しくて、2020年5月1日のSixTONES結成5周年に合わせて書いた次第であります。不快に感じてしまった方がいたらすみません。ここまで読んでくださりありがとうございました。

 

SixTONES6人の未来が誰よりも幸福なものでありますように!!!!!!

5周年おめでとう!!!!!!!!!!!!これからも「楽しい!」をください!!!!!!!!!!!!!超期待してる!!!!!!!!!!!!!!