夢追い人の凱旋

「楽しい!」をください。

Re:1st Atelier [第1回] / おぼれる。

読みました。感想を残したい。北斗くんが雑誌で連載を持つことへの感想(というか泣き言)は満足いくまで書いたので、こっちでエッセイ内容についての感想を書きたいと思います。書きたいと思ったこと書くだけなので小説もどきだったり、一言日記みたいな感想だけだったりぐちゃぐちゃです。ただの日記です。

 

初見で号泣した人間の主観ですし、現在進行形で涙腺大崩壊してるので暗いかもですごめん。

 

 

 

 夜。都会の雑踏。数メートル先にどこかで見覚えのあるような青年の背中を見つけた。コートのポケットからスマートフォンを取り出しながら人の海に消えた青年を、なんとなく探してしまう。ふわり、と変わらず数メートル先に現れた黒髪を、なんとなく目で追いかけていた。「誰だろう」なんて思いながらふわふわと揺れる黒髪の数メートル後ろを歩いていると、「ほんとですか!」という声がざわめきの街を切り裂く。ビクッと肩をすくめた拍子に黒髪の青年から視線が逸れてしまう。

まずい

衝動のまま顔を上げると、青年は静かに静かに、こちらを見つめていた。

つまさきを前に向けたまま、肩を掴まれたような姿勢でこちらを向く青年の顔は、顔面の骨格は確かに見覚えがあったが、振り向いた彼はたくさんの感情に塗れた表情をしていて、私はそんな表情をする人を見たことがなくて、つまり数メートル先の青年と、私は出会った記憶が無かった。

青年の目がふっと細められる。

まずい

今にも震え出しそうな体に鞭打つように、拳をギュッと握る。

静かに静かにこちらを見つめる彼の黒髪を、風が数束さらう。

ネオンの街にカーテンを掛けるように靡いたそれが儚くも綺麗で、青年が囁いた言葉を、私は聞き逃していた。

 

 

 

 

って情景が浮かんだので書いておきます笑

小説紛いはこのくらいにして、「アトリエの前で」の感想!というか「きりこについて」の感想!

 

 

読みました。「きりこについて」。

近くの本屋にも古本屋にも無かったので自転車で図書館へ行って、「な~の」の棚から分厚いハードカバーを引っ張り出して、3時間(30分の睡眠を挟む)かけて読みました。

どうせなら季節を感じながら読んでやろう。と思って日当たりの良い窓辺の席を探して、ピッタリと閉まっていたブラインドを半分開けて読んでたんですが、あまりにも日当たりが良くて、トロトロと落ちてくる目蓋と戦いましたが、結局敗戦を認めて30分ほど机に突っ伏して寝ました。気持ちよかったです。その後はしっかりはっきり意識を持って最後まで読みきりました。

 

正直に言ってしまえば、私はこの作品を「おもしろかった」とは思いませんでした。酔っ払っていた日々なんてとうの昔で鮮明に思い出せないから共感もしなかったし、かと言って大人になってからも「こんな都合良い話あるかよ」と思って、これもまた共感出来ませんでした。きりことラムセス2世へもそうです。きっと理由なく手にして理由なく読んでいたら、「なんだこの女と生意気な猫は」と毛嫌いして読むのを止めていただろうな、と。なのにそのまま読み進めていくと、「可哀相に」という同情の意思がひょっこりと顔を出すのです。「ぶす」のきりこがブイブイ言わせて、それを助長するラムセス2世を「生意気」だと卑下したのに、悲しい目にあうきりことそれを見守るラムセス2世に「可哀相」だと同情する。どこまでも都合の良い人間だな、と思いました。嫌いなら嫌いで貫き通せばいいものを、私はそれすらもしない。体の真ん中辺りをグリッと抉られました。

でも裏を返せばそれほどのめり込み、リアル感に溺れ、感情をコントロールされてしまうほど凄い作品なのです。タイトルを検索した時一緒に「読書感想文」と出てきたのも納得です。

 

北斗くんは、この作品を何歳の時に読んだんでしょうか。

初エッセイに引用してきたという事は、彼にとって特別な作品なのでしょう。好きな物を好きと言って何が悪い。後ろ指指されても、自分の言うことを聞いてあげられるのは自分しかいない。きりこの生き方は、北斗くんと似てるな、なんて思いました。きっときりことラムセス2世は北斗くんの中に住み着いて、今も住み続けてる。

私はこの作品が心に響くには年を食いすぎている(或いはまだ若すぎる)ので、北斗くんと感想を共有することは不可能でしたが、良い出合いでした。「すごく好き」ではないけど、ふとしたときに読みたくなるのかも、しれません。

 

 

 ***

北斗くんの言葉への感想。

スピードがゆっくりで、読点が規則的。一言目の次に読点を打つのが好き。考えてから喋るタイプの北斗くんらしくて可愛い。読点が多い時は感情のままに自己添削もほどほどに書いている気がするけどどうなんだろう。いつか検討したい。

過去の自分について書かれている部分は描写が子どもっぽいので、まだジュニアになって間もない頃あたりの姿が浮かんでくる。小さな体で精一杯かっこよく振舞う、小窓の少年が執筆しているようでくすぐったい。「魅惑」とか「酔っ払う」とかも、自分でドキドキしながら書いている横顔が浮かぶ。

 

北斗くんのひらがな抜粋

さまざま

わたる

すべて

まとい

ひそかに

つづろう

いわゆる

あこがれ

かっこいい

できる

おぼれる

 

 

 2019.3.20発売ー2019.4.22返信